北海道弁ネイティブが紹介するリアルな北海道弁75個(随時追加)

テープ起こしの仕事をしていると、方言のきつい音源に当たることがままありますよね。

北海道はイントネーションにおいては、さほど東京と違わないような気がしております。
大手の会社がお客様相談センター(電話対応)を札幌に置くのも、なまりが少なくて人件費が安いからだと聞いたことがありますし。

独特な単語としては
「なまら」(副詞) とか
「あずましい」(形容詞) とか
「~だべ」(終助詞)とか
ちまたでよく言われるのはその辺でしょうか。

でも実感として、日常会話であまり使わない方言ばかりが、面白おかしく世の中に広められているような気がしております。
「なまら寒いっしょ~」とか言うのは非ネイティブです。
これでは道外出身者に北海道の日常会話は書き起こせない!…のではないでしょうか。

今回は、もし万が一北海道弁たっぷりの音源を起こすことになった場合、よく会話で使われているであろう(日常でよく使うであろう)表現をまとめてみたいと思います。

※筆者は道央圏出身なので、函館や旭川・釧路等ではまた少し方言が違うと思います。
そして、浜益村(現・石狩市浜益区)出身の祖父母の影響を多分に受けていますので、ローカルな方言も含まれるかもしれません。
あしからずご了承ください。

★2019/6 リアルな北海道アクセントが聞ける動画リンク(HTB 巷のonちゃん)を最後に追加しました。

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動詞・形容詞・形容動詞編

動詞

【2020/6 new!】かっちゃく →「かきむしる」。「そこのかさぶた、そったらにかっちゃいたら治んないよ」

【2020/6 new!】ほろう →「払い落とす」。「ほれ、頭雪だらけでしょ。ほろってから入んなさい」

~してあるく(補助動詞) →「移動する」の意味。徒歩の意味はない。「バスに乗ってあるく」は「バスに乗った後降りて歩く」ではなく、「バスに乗って移動する」の意味。「転がってあるく」「滑ってあるく」「走ってあるく」などなど。 ※連用形は促音便になりやすい→「乗ってあるって」など。

かしがる →「傾く」。「傾ぐ(かしぐ)」の派生か。「かし/が\る」。
「あの家は柱がだめになったから、だいぶかしがってるわ」

ごんぼほる →「わがままを言う、駄々をこねる」。元はごぼうを掘るのに難儀することから?北海道以外の地域でも使われているかも。わがままを言う人のことを「ごんぼほり」とも言う。
アクセントは「ごん/ぼ\ほる」。

ほごす →「ばらす、解体する」
「私のお母さんのセーターを1回ほごして、編み直したのさ」「ティッシュの箱はかさばるから、ほごして捨てたほうがいいよ」

かます →「かき混ぜる」。「一発かます」の「かます」とはイントネーションで区別し、「か/ま\す」と「ま」を高く発音する。「下に沈んでるから、もっとかましたほうがいいわ」

おっちゃんこ(する) →「座る」。おじさんは関係ない。特に小さい子どもに言うことが多いかも?「ほれ、そこへおっちゃんこしなさい」

~して来(こ)えば… →「~して来れば…」がなまってこう聞こえることがある。
「持って来(こ)えばいいん/だ\」

~してあった(補助動詞) →「~していた」の代わりに使う。「~しておいた」の意味はない。
「会いに行ったら、●●さんは座ってあった」「おじいさんはそやって言ってあった」など。
語尾「た」を上げることが多い「~してあっ/た\」
日常会話では「~したった」のように崩れやすい。

てん(を)切る →トランプやかるたなど、カードをシャッフルすること。なぜ「てん」というのかは謎。

はかいく →「はかどる」。「お墓に行く」ではない。
「は/か\いく」のように「か」にアクセント。
「今日のゆで玉子の皮むき、ねっぱってて全然はかいかないわ」

はばける →「はみだす」「入りきらない」に近い。平板アクセント。
荷物を詰め込みすぎたスーツケースが閉まらない場合に「荷物少し減らさないと、はばけたわ~」

かっぱがす →水などが入った容器を倒して中身がまき散らされること。「かっぱ/が\す」のように「が」にアクセント。
食卓でコップを倒した時など「あー、かっぱがしちゃった」

じょっぴんかう(かつ) →玄関などの鍵をかけること。「かける」は「かう」か「かつ」になる。「じょっ/ぴ\ん」と「ぴ」が高くなる。

なげる →ゴミとして捨てること。「ゴミ捨て」は「ゴミなげ」という。

ねっぱる →べたべたする様子。またはくっついている様子。

うるかす →乾いてこびりついたものを水に漬けてやわらかくすること。「うる/か\す」。
「茶碗にごはんねっぱってるから、うるかしといて」

~さる(例:「押ささる」「書かさる」など) →道具や機械の挙動が、自分の意図しないものだった場合に使う補助動詞。物を主語にして使う。人を主語にしないことで、責任の所在を曖昧にできる(いいか悪いかは別として)。
ペンのインクが出ないとき「このペンは書かさらないわ」
うっかりボタンを押したとき「ボタン押ささってたわ」
面白い番組を見たとき「ちょっとのつもりが、結局最後まで見らさったわ」

ばくる →交換すること。「このカード、俺のとばくって」

あわくう →慌てること。「急に来たもんだから、あわくってしまってさ」

(手袋を)はく →手袋は、靴下同様「はく」ものです。

しばれる →「冷え込む」なのだが、「冷え込む」よりももっと「凍てつく」感じが表れていると思う。

ちょす →「いじる」全般。傷に対しても、機械に対しても、人に対しても使える。
「そやって、会うたび俺のことちょすんだもんな~」
「かさぶたちょしたら治ら/ない\よ」

あめる →食べ物が傷むこと。三音の動詞だが「あ/め\る」ではなく「あめ/る」と「る」にアクセント。
「この煮物、あめてるわ」

形容詞

きかない →「(ある量)よりももっと多い」または「乱暴な」。
平板アクセントで発音し、語尾に「わ」が付くときには「わ」にアクセント。
「朝から並んだ人らだっけ、100人ではきかないわ」「向かいの家の息子はきかない子だわ」

あずましい →「気ぜわしくなく居心地がいい」というような意味。長居できる喫茶店や、心配事や気を回す必要がなくいられる環境、などに使う。
「この間入院した時個室だったんだけど、やっぱりあずましかったわ」

しゃっこい →「冷たい」個人的には、冬に道路の水たまりの中に雪を入れて長靴でしゃくしゃく踏んで遊んだときの音を思い出します。

こわい →「だるい」熱があるときの倦怠感、坂を上ったときの息苦しさなど。

ゆるくない →「つらい」「大変である」など。「この仕事はやってみるとゆるくない」

いたましい →「もったいない」。「このごはん、いたましいけど、あめてるからなげるわ」

おっかない →「恐ろしい」「怖い」。「急に暗くなって、おっかなかったよ~」

も(っ)ちょこい →「くすぐったい」。「いや~、ちょっともっちょこいからやめて」

はんかくさい →「ばかばかしい」「浅はかな」。「ちょっとその人、はんかくさいんでない?」

やっこい →「柔らかい」。「これ、まだやっこいわ」

形容動詞

まて(だorに) →「丁寧(だorに)」。「そんなに時間かかって、あんまりまてにやりすぎてるんだわ」

びっこ(たっこ) →「あべこべ」「ちぐはぐ」。靴や靴下が左右揃っていない、長さが揃っていないことなどに使う。片脚を引きずることを「びっこひく」とも言う(←今だと差別表現とか言われちゃうのかなあ。)

名詞編

ガス(がかかる) →朝もや、霧などで見通しがきかない状態を「ガス(が)かかってる」という。

ごみステーション →ごみ集積場のこと。本州など他の地域にも一部あるらしいですが、札幌周辺はごみステーションと呼んでおり(立て札にも表示があり)ました。

とうきび →とうもろこしのこと。夏期には札幌の大通公園に「とうきびワゴン」が出ています。

べこもち →和菓子。黒糖部分と白砂糖部分の2色で構成されている。台紙の代わりに葉っぱ(笹のことが多いかも)がついている。やたら甘い……。端午の節句の頃に売られる。

いももち →道の駅やスーパーのお惣菜コーナーの定番。じゃがいもをふかしてつぶして片栗粉を混ぜたものがもち部分。中にチーズが入っていることが多い。砂糖醤油または甘辛いタレがついている。

おやき →関東でいうところの「今川焼き」。中身は餡かクリーム、変則ではあんチーズ(クリームチーズ)。基本的に具は甘くてお菓子の部類。しょっぱい具は入らない。

すけそ →スケソウダラの略称らしい。

まがれ →マガレイの略称らしい。

こっこ →稚魚のこと。「あすこの市場で、すけそのこっこ売ってたわ」(「あすこ」は「あそこ」の訛り)

ガラナ(商品名) →コーラの代名詞っぽく使う人もいる。

カツゲン(商品名)→系統としてはヤクルトに近い、甘~い乳飲料。でも味はヤクルトとは全然違う。なんとも表現しがたい独特の風味……

やきそば弁当(やき弁)(商品名) →焼きそば弁当。恐ろしいカロリーと糖質だが、おいしい。焼きそばの戻し汁でスープを作る。個人的には一時期あった焼きうどん弁当が好きだった。東京の北海道フェアでは150円以上で売られているが、北海道では特売の定番商品。本当に安いと98円ぐらい。くじ引きの景品になっていることもある。

めんみ →北海道限定販売らしい、めんつゆ。一般的めんつゆのことを「めんみ」と呼ぶ人も多い。甘みが強くて濃い印象。

サビオリバテープ →絆創膏のこと。これは地方によっていろいろ呼び方があるらしいですね。リバテープ製薬様のサイトが詳しいです。祖母は北海道出身だったのに、なぜかリバテープって呼んでいたなあ……

おつゆ →お味噌汁のこと。

豚汁(ぶたじる) →「とんじる」とはあまり言わない気がする。ものは一緒。

汽車 →鉄道、すなわち北海道ではJRのことを指す。非電化区間が多いとはいえ、さすがに蒸気機関車は定期ダイヤに組み込まれていない。
「今日札幌行くとき、汽車で行こうと思ったら遅れてたからバス乗ったさ」

ママさんダンプ →冬の雪かきに欠かせない道具。なぜこのネーミングかはわからない。単に「ダンプ」とも。ダンプカーではない。

めっぱ →ものもらい、麦粒腫のこと。筆者は幼少時、「目に小豆を入れて、振り向かないで走る」という謎の治療法を祖母に教えられたことがあります。何のエビデンスもない、おまじないレベルかそれ以下の話ですよね笑。

内地 →本州のこと。青森以南はすべて「内地」。

今度 →「今現在」の意味として使われることがある。「うちの孫、今度4月から小学生になったのさ。」

いんた →「様子」。筆者の祖母が使っていただけなので相当ローカルかも。「やっこいいんたな~(=やわらかい様子だな)」などと使う。

われわれ →普通どおりの意味で「私たち」。ある同一の境遇にある人たちの意見を代表して述べるときに使う1人称。2回目の「われ」のほうを高く言う。

(こんな・こったら)べっこ →「こんな少しの量」の意味。「こったらべっこ、いまやってしまえばいいっしょ」

番外編:三音の名詞は真ん中を高く発音 「み/か\ん」「く/す\り」など。

副詞・接続詞・助詞その他編

【2020/6 new!】なんぼ →「どんなに~」「いくら~」
「なんぼ主任さんでも、あのごんぼほりだっけはんかくさくて、あましてあったわ」
(「いくら主任さんでも、あのわがままな人といったら浅はかで、手に余していたわ」 )

~(だ)もね →「~(だ)ものね」が短くなった形。平板アクセント。
「あんなに頑張ったんだもね」
「夏になったら海の家やるもね」

~だら・~だっけ →「~の場合には」「~であれば」「~については」。
「われわれだっけ、そったらにはもってねんだわ」(「私たちはそんなには持っていません」)

~しょ →「~だよね」の代わりの終助詞。実感として「いいっしょ」よりは「いっしょ」「いいしょ」のように聞こえることが多い。

なまら・なんまら・なんま →「とても」。個人的には「なんま」の使用頻度が高い。「この間●●さん生で見て、なんまびびったわ~」

~にかって →「~にかまけて」。「さっき庭に来たねこにかって、/な\んも仕事進まなかったわ~」

したら・したっけ →「そうしたら」。接続詞としても使えるが、別れの挨拶としても使える。「したらね」「したらまたね」「したっけ」など。個人的には「したら」の方が使用率が高い。

なんも →基本的には「何も」「全く」。その他、謝ってきた相手に対して「なんもだよ」「なんも、なんも。大丈夫」などのように使われることもある。

~さ・~わ  →特有の意味はない。文末に付くとここにアクセントが付くことが多い。
文節の切れ目に入れると北海道弁らしさが出るのかも。
「今度私さ、友達に教えてもらってプール行ってんだわ」

リアルな北海道アクセントが聞ける動画のご紹介

おなじみHTBキャラクターonちゃん(の、足の長いver.笑)が道内各地を巡る「巷のonちゃん」。
街の人の発言部分が参考になるかと思います。
ちなみに…#8厚真町の回、取材先のおうちの後ろに見えている山が、2018年9月の胆振東部地震で崩れた山です。このおじいさんや宝物たちは大丈夫だったかな、今も元気かなあと、見る度に思い出してちょっと胸が苦しくなります。
(お名前と航空写真でいろいろ検索したところ、建物自体は山崩れにかからず、現存しているようです。)

※あと、あまりおおっぴらにリンクを貼ると著作権うんぬんがありそうなので取り下げたのですが…
80年代~90年代に廃線になった北海道の鉄道路線名(広尾線、天北線、羽幌線、深名線など)で検索すると
廃止前後のドキュメンタリー番組がYoutubeにあります!
沿線住民にインタビューしている部分がかなり癖のある北海道弁で、リスニング力が問われる感じだったので、興味のある(または腕に覚えのある!)方はこちらもおすすめします。

羽幌線なんかはかなり浜っぽいなまりが強く、私も聞き取れるかやや怪しいレベルです。

ちょうど私の祖父母の世代の人たちがインタビューに答えており、私が聞くと懐かしいなまりだな~という印象です。大正~昭和一桁年代生まれぐらいの方たちと思われます。

総括すると

イントネーションの訛りはさほどでもないのですが、特有の単語は多い北海道。

書き起こしで北海道弁に悩まされたときには、ぜひお役立てください。

(思い出し次第、随時追加します。)

おわり。



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