文字起こしワーカーの『開業届』と『所得税の青色申告承認申請書』

私事ですが、先月(2018年7月)末に税務署へ行って、開業届と、所得税の青色申告承認申請書を提出してきました。
ネット上にフリーランスの開業届の書き方を書いてくださっている方は多いのですが、文字起こしを職業とした方は見当たらなかったので、稚拙な説明ではございますが、私の場合を記してみます。

※2020/05/30 「所得税の青色申告承認申請書と確定申告(事業が軌道に乗る前、赤字の時から青色申告すべき理由)」の内容を訂正し、加筆しました。

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開業届と青色申告承認申請書を提出するには

開業届、所得税の青色申告承認申請書とは何か

開業届

個人事業主として仕事をします、という宣言の紙。どれだけの収入があろうがなかろうがあまり関係なく、単なる宣言。ただしこれを提出すると、確定申告書を少なくとも白色申告で(申請すれば青色申告で)提出しなくてはならないようです。

所得税の青色申告承認申請書

「個人事業主として仕事をする時に、複式簿記っていう詳しい帳簿をつけるのと引き換えに所得税の控除を大きくしてくれる、という制度を使いたいです!」という宣言の紙。
ちなみに、税金そのものが65万円減るのではなく、税金の算出のもとになる、課税される金額が65万円減るということです。つまり実際に減る税金は65万円×所得税率、程度です。

青色申告は今のところ65万円控除なのですが、平成32年分からe-taxを使って電子申請しないと55万円控除になるとかで……e-taxは事前に市役所でマイナンバーカードを発行してもらうのと、カードリーダーを自分で買ってきて準備する上に、システムの不備が多くてブラウザがIEじゃないと使えないとか不評が結構あるようなので、ちょっと不安です。あと2年で改善されますかね……。
それにしても、白色申告10万円よりは、帳簿をつけさえすればかなり節税できます。

蛇足:今調べたら青色申告10万円控除というのもあるようですが、現金主義の方のみとのことで。
65万円控除を適用されたい人の場合、帳簿は発生主義でつけるんです。
ざっくり言うと
例えばクラウドソーシングで発注がかかった時点(収入の必要性という経済的事実の発生)で帳簿につけるのが発生主義
実際に報酬を銀行に払い出したとき(現金が手元に来たとき)に帳簿につけるのが現金主義
ということらしいです。支出もしかり。
参考サイト

書類の入手方法

開業届はこちら

青色申告承認申請書はこちら

開業届を出すときに必要な、本人確認書類(写)添付台紙はこちら

ダウンロードできます。pdfの文字入力で記入する方法もあるみたいですが、狭い欄の中でうまく融通が利かないので、私は印刷して手書きしました。
会計ソフトなどによっては、これらの書類を作成する機能がついているものもあるみたいですね。

ちなみに青色申告承認申請書は2部作成して(開業届は2枚目に(控え用)というのがついています)、税務署でそれぞれの片方に控えの印鑑を押してもらうことをおすすめします。直接行ったほうが、不備があったときにその場で指摘してもらって直せるので安心ですが、どうしても行けない方は切手を貼った返信用封筒を入れて郵送すれば控えを返送してくれます。
屋号のついた銀行口座を開設したい場合などに、この控えが役に立つそうです。
私は屋号を決めるよりかなり前に個人名で事業用の口座を作って使っているので、まだ控えを使う場面は来ません。

書類の各項目の書き方

在宅フリーランスの場合、住所地と事業所が同一だと思いますし、人を雇って給与を払うこともないと思うので、さほど記入に戸惑う部分がありません。
どちらの書類も、だいたい書くことは共通しています。
私が戸惑った部分だけ記載します。

職業

『データ入力業』としました。
音声反訳業、リライターなどいろいろ考えたのですが、画像データからの文字起こしも時々するので、ざっくりしたこの言葉に。

屋号

『オフィスうしがらタイガー』
そのまんまです。『オフィス』はまあデスクワークだし、屋号としても汎用性が高そうだったということと、ネット上の会社名占いなどでも悪く出なかったので、まあいいかなと。
今のところ、あまりこれを名乗る場面はありません。

※後日、税務署からきた郵便物を見ると「オフィスラレガラタイガー」と登録されていました…!
読みがな欄に片仮名で「ウシガラタイガー」と書いているのに!! 税務署があまりに適当でびっくりです。
すぐに電話して登録を直してもらいましたが、電話口の職員の人も苦笑いでした。
※※引っ越して担当税務署が変わったところ、今度は「うしがしらタイガー」と登録されました。
確定申告書で指摘して提出しようと思います…。税務署は屋号を軽視しすぎではないだろうか。

事業の概要(開業届のみ)

『文字起こし(テープ起こし)…音声を聴いて文書に書き起こす、または紙媒体の文字をワープロソフトなどの電子媒体に入力する』
かなり詳細に書きました。
なぜかというと、いろいろなブログ等で調べたところ、あまり具体性がなく書いた場合、あとで税務署や市役所などからどんな仕事なのかという問い合わせが来ることがあるらしいのです。そんなドキドキする電話はなるべく回避したいので(悪いことしてるわけじゃないんですが)、問い合わせが来ないように配慮してみました。

備付帳簿名(所得税の青色申告承認申請書のみ)

65万円控除の恩恵を受けるのが目的なので、簿記方式は複式簿記です。
その上で、確定申告するときに違っていてもいいみたいなので、とりあえず調べて
現金出納帳
売掛帳
買掛帳
経費帳
固定資産台帳
預金出納帳
総勘定元帳
仕訳帳
の8つに丸をつけました。

書いたら税務署に提出

私は隣の市にある管轄税務署に直接行きました。駅から徒歩しか手段がない上に、遠くて暑かった。。
はいどうぞ~と言われて書類を見せてから、窓口のおばさんが記載事項をチェックして、控えに判をもらって終わるまで2分くらいでしょうか。ものすごくあっさりしていました。

他の方のブログなどでは、青色申告書の作成方法指導や、無料の帳簿記載指導などの案内があったと書いている方が多かったのですが、一切そのような説明がなく。。(東京市部の某税務署です)
「何か、青色申告のパンフレットみたいなのないですか?」と聞いたら、しばらく探してそれらしきパンフレットを1種類くれました。青色申告を促す内容で、あまり役に立たないです。

正直、記帳指導は期待していたので、どうしようか思案中です。
使っている会計ソフトから、そのソフトが得意な税理士さんを探せるようなので、そういうのを利用してみるか、自力で本を読んで頑張るか……大した収入ではないので、お金を払って税理士さんに頼むとそれで赤字になりそうで、とりあえずは自力でやる方向に傾いています。

※10月に、青色申告会が開催する記帳指導会(講義みたいなもの)の案内が来て、11月に行ってきました。
個別の記帳指導は、予約制で地域の税理士会がやっているもの(無料、45分)に行ってくることにしました。

開業届と、所得税の青色申告承認申請書提出の影響(扶養、確定申告)

どなたかの扶養に(所得税、住民税、年金、健康保険)入っていらっしゃる方は、この辺が気になるポイントではないでしょうか。

私も主人の扶養に入っているので、書類を出すに当たり、気になって調べました。
私の状況を参考までに:
フリーランスの前は専業主婦(失業保険給付等なし)、扶養義務のある子どもはなし、主人はフリーランスの専門職。国民年金、主人の健康保険組合の扶養に入っています。

(以下、自分で調べて納得している内容なので、事実と異なる可能性がゼロではありません。ご自身に情報を適用される際は、税務署や市町村役場、年金事務所、各健康保険組合などに確かめられることをおすすめいたします。)

開業届・所得税の青色申告承認申請書を提出することと、扶養から外れるかどうかの関係

扶養と一口にいっても、3種類に分けて考えなくてはなりません。

・税金の扶養(所得税、住民税)
・年金の扶養
・健康保険の扶養

税金(所得税、住民税)の扶養

開業届の提出の有無には関係ないようです。

所得税の青色申告承認申請書については……扶養してくれている方の収入によっては影響する場合があるようです。
我が家の場合、これまでは主人の所得税・住民税計算の時に配偶者控除がありましたが、平成30年の税制改正で配偶者控除・配偶者特別控除が適応されない範囲に引っかかったため、私の収入の有無は主人が払う所得税・住民税に影響しなくなりました。
これが私が開業届を出そうと思ったきっかけでもあります。

国民年金の扶養

主人も私も第一号被保険者のため、収入に関係なく決まった額を支払っていて、扶養という概念がありません。したがって開業届、所得税の青色申告承認申請書の提出の有無とは無関係。

健康保険の扶養

開業届に関しては、健康保険組合によっては、開業届を出した時点で配偶者の扶養から外れる場合があるらしいです。私も主人の健康保険組合に念のため電話で確認したところ、月々10万8千円を超えなければ扶養でいられるとのこと。ただ、3カ月連続して超えたら脱退手続きをしますので、すぐにご連絡ください、と言われました。

所得税の青色申告承認申請書の提出の有無には関係ないです。

 

開業届と所得税の青色申告承認申請書を出したあと、確定申告の時に発生する影響

開業届と確定申告

開業届自体は、所得税の青色申告承認申請書と同時に提出すれば、おそらく確定申告には何の影響もなさそうです。

蛇足:所得税の青色申告承認申請書のみを提出することはできず、必ず開業届とセットで提出するそうで。
逆に開業届のみを提出することはできますが、それだけでは白色申告しか認められないそうです。
もし青色申告を希望する場合は
開業から2カ月以内or
前年度以前より事業をされている方は申告書提出前年の3月15日まで
(期限について、詳しくはこちらをご参照ください)に所得税の青色申告承認申請書を提出するそうです。

所得税の青色申告承認申請書と確定申告
(事業が軌道に乗る前、赤字の時から青色申告すべき理由)

所得税の青色申告承認申請書は、確定申告の時には大いに影響します(まだやっていないので実感がわきませんが、たぶんそうです笑)。
収入から課税所得を算出するときに、基礎控除38万円、青色申告特別控除65万円、その他に仕事用に買ったものも経費にできるので、これをきちんと帳簿につけておけば、私のような弱小フリーランスは、課税所得が限りなくゼロに近づきます。

つまり帳簿上赤字になるわけですが
(←2020/05/30訂正 収入-基礎控除や青色申告特別控除の計算で値がマイナスになっても、所得は0と見なされるだけです。
収入金額(←所得ではない)と、それを得るための必要経費の差額がマイナスの場合を赤字(事業損失)とするらしいです。)

赤字が3年繰り越せるのが青色申告のすばらしいところです。もし来年や再来年にたくさん稼げても、前年や前々年が赤字ならば、その時のマイナス分を計上して税金を減らせる(損失申告)らしいです。ありがたや。

ところが、この赤字の年も青色申告しておかないと、この赤字繰り越しは適用されないんです! 軌道に乗ってからでは遅いかも。
これが私が今回書類を出すきっかけになった2つめの理由です。

65万円控除のために、複式簿記をどう記帳するか

会計ソフトを使うのが、このご時世では一般的でしょう。
私はMFクラウドを使っていますが、銀行口座やクラウドソーシングサイトとの連携はかえって面倒なことが多く、仕訳辞書のみを使って基本的に手動入力です。件数が少ないのでこれで事足ります。この辺はお好みで。

在庫を抱えない業種のフリーランスならば、帳簿につける内容が限られますので、たぶん1カ月もつければ日常のお金の出入りはつけられるようになります。
現に私も、「クラウドソーシングで発注されたとき」「クラウドソーシングの報酬を払い出したとき」「事業用クレカで仕事に関係するものを買ったとき」「クレカ引き落としのとき」「自分のお金を事業用に使ったとき」「事業用のお金を自分用に使ったとき」くらいしかつけません。
というか、それ以外で帳簿につけるようなイベントは起こりません笑。

また、自宅を事業所にしている場合は家事按分という帳簿要素もありますが、これは確定申告までに解決すればとりあえず間に合います。私はまだつけてません。
(この考え方では夫婦は同一の財布と見なされるため、家賃を主人名義で払っていても、自分が仕事に使っている自宅の面積や時間帯から割り出して、ある程度の家賃や光熱費を経費として計上できるらしいです。→参考ページ

結論

青色申告の本当の恩恵を受けるには、3年先を見越して赤字繰り越しも視野に入れ、開業届と所得税の青色申告承認申請書の提出を早くやっておいたほうがいいかもしれない。

ただし、扶養(所得税、住民税、年金、健康保険)の状況によっては、提出によって支出が増える場合もあるかもしれないので、よく調べてから提出する。

参考文献:

 

おわり。

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