文字起こしをする人の肩書問題

文字起こしを仕事にしている人の肩書は、世間的に何と名乗ればいいのでしょう。

今回のテーマは 職業名を聞かれたら何と名乗っていますか?? です。

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文字起こしをしている人が職業を説明したときあるある

家族は仕事の様子も知っているので、「昔でいうテープ起こしってやつだよね」ぐらいには認識してくれていますが、ほぼ初対面の人に「ご職業は?」と聞かれて、すぐに分かってもらえるには何と名乗ればいいのでしょう。

例えば、その日初めて切ってもらう美容師さんが、こんなふうに聞いてきたら。

 

美容師さん
美容師さん

今日って、お仕事のほうはお休みな感じなんですかー?

ていうか、うしがらさんって、お仕事何されてるんですかー?

回答例1

うしがら
うしがら

フリーランスで、文字起こしをしています。

美容師さん
美容師さん

え? もじおこし??

「文字起こし」という言葉はあまり浸透していない感じがします。
文字起こし作業を依頼してくる方や、自分で起こしたことがある人以外で、説明なしで通じたことが今のところありません。

ひどい場合には「雷おこし?ですか?」と聞き返されることもあったり…笑。

回答例2

うしがら
うしがら

音声反訳者です。

美容師さん
美容師さん

へぇ~! 翻訳!? 英語ができるんですね!

「反訳」という言葉も、世間一般の大多数の人が知っているような言葉ではなさそうです。
翻訳と聞き違えられることが多いですが、本来の意味は↓だそうで、そもそもは速記符号を文字にする作業を指して使うようです(後述)。

反訳( 名 ) スル
1.(→翻訳に同じとあり)
ある言語で表現されている文を、他の言語になおして表現すること。また、そのなおされた文。
2.翻訳された文あるいは速記・暗号などを、またもとの言葉にもどすこと。
(スーパー大辞林3.0より抜粋)

回答例3

うしがら
うしがら

テープ起こし屋です。

美容師さん
美容師さん

テープってカセットテープですか?まだあるんですねー!

いや…さすがにもうテープじゃないんですけどね…と一言説明が必要になるのがこのタイプ。

そもそも「○○屋」という言い方はあまりよろしくないという意見もあるようで。
記者ハンドブック492ページの【○○屋】という項目に、「○○屋の形で職業・肩書を示すのは避ける」とあります。
『愛称的な「八百屋さん、魚屋さん」などは構わない』とのことですが、果たして「テープ起こし屋さん」は愛称と言えるのかどうか。ちょっと違う気がしますねえ…。

※ちなみにこれは記事作成の場合に使うのを避けるという話で、文字起こし作業で音声に「○○屋」と出てきたらそのまま記載して大丈夫です。

ネットでリサーチしてみました

ランサーズでは

ランサーズの認定ランサー検索で、キーワードを変えて該当ランサーの人数を調べてみると
「文字起こし」で検索→177人
「テープ起こし」で検索→160人
「音声起こし」で検索→55人
(2018/11/4現在)

この3つの単語で頻度を比べた場合、「文字起こし」が優勢のようです。
ただ、「文字起こしを承ります。」などのように文の形で書いている方が多く、肩書として1単語で書いている方は、ざっと見ていないようでした。

独自の造語を使っている方々も

オコシスト
こちらのページによるとokosoの廿里美さんが名乗っていらっしゃるのと
こちらのブログで「オコシストは私の造語だ」と書いていらっしゃる方がいます。オコシスト、言いやすいですし、覚えやすくていい肩書だなと思います。
ただ、税務署関係の職業欄に書いた場合、まず間違いなく問い合わせの電話が来そうです。
名刺やブログなどのプロフィールに書くならばいいかもしれません。
テープリライター(テープリライトという造語から)
「テープリライト」という言葉はテープリライト株式会社様が商標登録されているようです。
こちらのページの1983年~の項目に書いてあります。
もしかすると「テープリライター」という言葉自体は商標登録されていないのかもしれませんが…
一般人には使いづらそうですね。
トランスクライバー
「文字起こしする」という意味の英語の動詞が”transcribe”なので、意味としては間違っていないと思われます。
ただこれも、職業名としてぱっと聞いて分かるかというと微妙な気も…
録音(or音声)反訳者
速記記号を文字に直す本来の「反訳」ではなく、録音音声を聞いて文字にするんだよ、という意味で「録音」と付いているのでしょうか。
そもそもこちらのテープリライト株式会社様の用語集(反訳の項目)に、録音音声を文字にする作業を「反訳」と呼ぶのは本来誤用であるとの旨の記載があります。
何となく意味は伝わりそうですが、何の憂いもなく堂々と使えるか?というと、これまた微妙な気もします。

タイピスト または 文字起こしライター

OKOSHI様のサイトでは「文字起こしライターをタイピストさんって呼ぼうと思っています」とのことです。
個人的感想としては、タイピストというと校閲過程があまり重要視されていないような気が…データを転記入力する作業をする人、というイメージですが…

文字起こしライター、はありかもと思います。確かにwriteしますしね。
あわよくば、「文字起こし」の意味が分からずとも「何か書いている人」ぐらいには思ってもらえそうですし。

まとめ

現時点での私の肩書

税務署関係の書類の職業欄は→データ入力業
(まだ家族にしか配っていない)名刺には→文字起こしリライター

と書いています。

税務署のほうは「音声だってデータだろう」というざっくりした自己認識に基づいて、この表記です。
青色申告説明会の申し込みで職業を聞かれたときに「データ入力業」と名乗りましたが、特に聞き返されたり説明を求められたりしなかったので、まあ今のところOKかなと思っています。
ただ、確定申告が終わって税金うんぬんが確定する時期になったら、もしかすると都道府県から問い合わせが来るかもしれません。
年間所得290万円を超えた場合のみ考えればいいことですが、請負業(税率5%)か文筆業(税率0%)かで、個人事業税率が違うので…→参考:東京都の個人事業税の法定職種と税率

そして名刺を「ライター」ではなく「リライター」としたのは、ケバ取りや整文の工程がrewriteに該当するかなと思ったためです。
こちらはまだ対外的に使っていないので、どんな反応があるか分かりません。

結局、肩書として何がいいのかは分かりません

個人的には「文字起こしライター」ぐらいが、分かってもらえるという点でも、仕事内容に合致しているという点でも妥当かと思っておりますが、いかがでしょうか。

市民権を得たちょうどよい肩書用語が出てくることを願いつつ、この記事をおわります。



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