文字起こしの1日の作業量をどう見積もるか

仕事を引き受けるときに必ず考えるのが納期ですが、それは結局突き詰めると、1日に可能な作業量を考えているに等しいと思います。

皆さんは1日の作業量をどう見積もっていますか。
そして実際にどのぐらい作業を進められるでしょうか。

家族構成や体力や他の仕事の有無など、いろいろな条件に左右されるかと思いますが
一参考として、私がどのように見積もっているか、どれぐらい作業をしているかを書いてみたいと思います。

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1日の作業量は音源30分、聞き直しは3時間まで(2019年現在の私の場合)

日本人特有のうだうだした前置きがあるのが苦手なので、早速結論を書きました…。

なぜこの結論に至ったかを以下に述べます。

筆者の場合はこう決めました

私の場合、音源30分は最短1時間半で起こせます(ケバ取り、フットスイッチ、ATOK予測変換&単語登録使用)。

しかしこの条件は相当厳しいものでして
・相当音質が良くて聞き直さず進められて
・知っている単語と言い回しばかりが出てきて
・しかも聞いていて苦痛ではない(それどころか、もっと先を聞きたくなるぐらい)
という3つが揃った場合に限ります。

 

そしてこの3つの条件は、ある程度の長さの音源を聞いてみないと分からない=受注前には分からないというところが問題です(理由1)

しかも、仮に1時間半で起こしたところで、短距離走の後のように短時間でおそろしく消耗するので、このペースは長く続けられるものではないのです(理由2)

全く知らない専門用語の英単語ばかりが挟まってくる案件(医療系に割とあります)は、30分起こすのに最長6時間かかったことがあります。
しかしその裏返しで、30分の音源なら、不明処理だらけになってもまあ6時間あれば何とかなるだろうという見通しがついています(理由3)

それとは別に、私は家族の晩ごはんを作る必要があるのですが、
おおむね6時間以上作業した日に包丁を使うと高確率に手を切ることが分かりました(理由4)
仕事のない日に料理をしてけがをした記憶はないので、仕事によって自覚している以上に消耗して注意力散漫になっていることが、経験上分かりまして。情けない。

それからこれも体力のなさに起因するのですが、平均して2週に1回ぐらい、首こりに起因して朝起きた時点で偏頭痛になっていることがあり(以前フルタイムで勤めていたときにかなりこれで欠勤し、ご迷惑をお掛けしていました…)
この場合だいたい午前中はバファリンを飲んで寝ていないとしんどくて生きていられません。そうすると作業時間は早くても昼過ぎからになる。
しかし昼過ぎからでも、寝るまでに最低6時間は作業時間を確保できることが経験上分かりました理由5)

 

∴理由1~理由5により、
1日の作業時間は6時間以内と見積もれば後から齟齬が生じにくい
6時間あれば最悪30分は起こせる
すなわち、1日の作業量の見積もりは30分と導かれました。

同様に聞き直しも、だいたい倍ぐらいの時間があれば不明処理部分を調べながら聞き直せるので、音源3時間ぐらいまでとしています。

これより早く進む分には問題ないので、最悪の事態(=締め切りに間に合わない)を免れるため、ぎちぎちには引き受けないようにしています。

 

資料があれば用語調べの時間は省けるのか?→NOです

ちなみに、資料があれば聞いたことがなくても用語なんてすぐ分かるんじゃない?と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが…。

私は用語集を提供いただいても、話者メモがあっても、正直あまり加速要因にはなりません。
結局、資料に目を通して必要な情報を拾う時間がかかるからです。100ページ越えのスライドなど、検索をかけてもたくさんヒットするので、検索結果から探すだけでも細々とした時間ロスがあります。

さらに、お借りした資料が役立たなくて論文、ウェブサイトを探すことも多々あり…そうするとますます時間がかかります(-_-)

蛇足:しかしこれでは(直受けせずに)自立して暮らすのは無理な気がします

文字起こしだけで食べている人は、文字起こしだけのために生きているに等しくなってしまわないのだろうか

文字起こしだけで生計を立てている人という方のブログを昔読んだことがあります。
その後もその生活を続けられているのかどうか分かりませんが…。

確かその方は、1日に60分の音源を起こして納品する、それをほぼ休みなし(月に1日ぐらいの休み)で続けると書いていたと思いますが
実際にやってみると私には絶対に無理です。いくら好きな作業でも無理です。
プライベートというか日々の生きていく楽しみがゼロになって、何のために文字起こしをやっているのか分からなくなりそう。
というか、この方は聞き直しや見直しなどはどうされていたのだろう?

理想の手取りを妄想してみます

私の今のペースで考えると、3日で1時間分納品&週休1日で月に26日働く→音源8~9時間/月
聞き直しが1日で3時間分までできることを考慮して、1案件で2時間以上の音源があることを加味すると10時間/月
月に20万手取り、あわよくば30万と考えると333円~500円/分

(ただフリーランスで何の扶養にも入っていない場合、社会保険ありの会社勤めと異なり、この手取りから社会保険料や年金などの支払いが生じるので、本当は最低30万ぐらいは欲しいところです)

この単価は、文字起こし会社の登録スタッフやランサーズなどでは難しい気がします。
例えば医療系に特化して直受けすれば実現できそうな金額ではありますが、要約や常体文への書き換え、内容まで踏み込んだ校閲など、おそらく何かしらの付加価値を付けないとなかなか難しそうです。
でも途方もない感じではなく、夢を持てる金額ではありますね。いつかそこまでの価値のあるものを提供できるようになってみたいものです。

60分音源を朝にもらって夕方納品事件

実は、60分音源を朝受けて夕方納品(クリーニング屋さん状態?)というのを、駆け出しの頃に一度だけランサーズで引き受けたことがあります。
納期の割に単価が安すぎて1度お断りしたのですが、よほどお困りの方と見えて、こちらが提示した最低単価に上げていいからお願いしますと再度依頼がありまして。

工業系の音源のうえに、話しているのが中国人(日本語を話しているが変なところに濁点が付いたりして、ぱっと聞いても意味が分からない)で、相当苦労しました。
当然聞き直し時間もぎりぎり、1.2倍速ぐらいで特に分からないところだけを重点的に聞き直して、結局不明箇所盛りだくさんで納品したと思います。ものすごく消耗しました。
なんか気持ちが若かったな~。といってもつい1年数カ月前の話ですが。
今なら丁重にお断りするか、不明箇所だらけを承諾してもらう+500円/分(手取り)ぐらいで条件提示してみてしまいそうです。

結局、作業量の見積もりは経験の積み重ねから導き出される

自分でなぜ1日30分に作業量を決めたかを書いてみて、結局その根拠は「経験」なのだと初めて自覚しました。

経験から導かなくとも、例えば疲れを感じにくくていつでも決められた通りに作業できる、屈強な精神力と体力をお持ちの方もいらっしゃると思うので、決めた分量ありきという考え方もアリだと思います。
何としても1日60分を起こすまでは寝ないとか、休みは10日に1回という生活…私もできるものなら少しだけやってみたい気がします。

個人的には、請負系の仕事は、求められるクオリティと納期が満たせていればどんなふうに作業しても自由だと思います。そこが請負系の仕事のいいところです。

ぜひ経験や体力や必要な収入から自分に合った作業量を見積もってみてください。
おわり。

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